すいせい

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このブログはデザイナー樋口賢太郎が綴る日々のことです
2018.03.29

オタクで変態な日本人

まえまえから日本人の本質とはなにかと考えていた。
過労死するくらい働いたり、融通がきかず真面目だったり、あるいは本音と建前を使い分けたりと、
いろいろと外の国の人から揶揄されてきたが、最近は表題のように「オタク」と「変態」という2つの要素が
本質なんじゃないかと思っている。

オタクとは、要するに部分に固執する性質のことだ。
全体を俯瞰するのではなく、ディティールについつい目が向いてしまう。
広い分野を横断的に渡り歩くよりも、ひとつの専門性を掘り下げたくなる。
最初はアニメやフィギアなどを修飾する言葉として使われ始めたが
基本的にはあるジャンルへの視野狭窄の状態を指していて、
その言葉が生まれるずっと前から似たような気質を日本人は有していたのだと思う。
iPodの裏の鏡面磨きやナノサイズの注射針をつくるなど
ディティールを極めることに関しては他の追随を許さない。

なぜそのような気質なのか勝手気ままに論じれば
おそらくひとつに稲作文化の影響があるのだろうと思う。
田んぼに稲を一本一本等間隔に植えていく作業は、細かな神経を育むことを可能にし、
意識がディティールに向かう傾向を生む。
加えて国土面積が少ないということも関係していると考えられる。
日本では基本的に「小さいことは良いこと」という考えがベースにあり、
ウォークマンから車までコンパクトにつくられてきた。
それは限られたスペースを活用しないといけないからで
「大きいことは良いこと」という大陸文化が生んだアメ車のコンセプトとはだいぶ違う。
田植えもそういった合理性が関係しているとすると、国土の狭さがオタク気質を育む要因になったのだろう。

変態とは、「方向性の特殊さ」だと思う。
グローバルに見れば、日本の鉄道ダイヤの正確さは稀有であるし、
掃除がすみずみまで行き届いている状態は潔癖である。
正確でないとイライラするし、清潔じゃないと気持ちが悪い。
海外から訪れた人は、日本人が手づかみで食事をするわけでもないのに、
なぜ食べる前にお手拭きを使うのかわからないらしいし、
出発が数分遅れただけで詫びる列車内アナウンスは、世界ではニュースとして取り上げられる。
正確さと清潔さはもちろん悪いことではないが、グローバルに見ればかなり偏向しているのは間違いない。

なぜそのような気質なのか勝手気ままに論じれば
おそらくひとつに島国という地理的な要因が関係しているのだろう。
情報がシャットダウンされやすいので、文化的にガラパゴス化してしまうからだ。
これが陸続きであれば他国から干渉されるので、特殊な方向に進んでも、ある程度の客観性は保たれやすい。
しかし海に囲まれていると、知らず知らずのうちに、一般性を欠いたエリアに流されてしまう。
さらには日本は鎖国までしていた歴史があり、他国に支配されたこともほぼないので、
純粋培養に近い形で変態性が保持されてきた。
そういった土壌が日本のユニークな文化を生んだし、現代でも変態でいることを社会的に容易にしていると思う。

低迷している日本だが、これからグローバルな世界でどのように振る舞っていけばいいのか。

ガラパゴス化しやすい点を除けば、上記の気質は価値をつくることにとても向いていると思う。
変態性はオリジナリティを生む豊かな土壌であるし、オタク気質はそのオリジナリティを磨くスキルに繋がることが多いからだ。
しかし現在は価値がガラパゴス化してしまい力を発揮できていないと感じる。
得てして変態やオタクの人々は自分たちが特殊であることに気づきにくい。

まずは自分達が変態でオタクであると認めることから物事は始まるのかもしれない。


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