2010年9月

カプセルホテルから桂離宮まで 3

※写真は2にありますので、そちらからご覧ください。

西芳寺の後は三十三間堂に行き、桂離宮に向かいました。
(そういえば三十三間堂にも馬鹿馬鹿しいという属性がありますね)

桂離宮は簡単に言うと江戸初期に建てられた宮家の別荘です。
1615年に最初の山荘が建てられ、その後徐々に建て増しして現在の形になりました。
有名過ぎるので詳細は省きますが、
建築家のブルーノ・タウトが「泣きたくなるほど美しい」という感想を残していることでも有名です。

実際に桂離宮に行ってみると、ホントにため息が出るほど美しい場所でした。
美しいを通り越して、気持ちいいという方が的確かもしれません。
建物の意匠、材質、それを取り巻く庭園の環境、
全てが調和してこの上なく気持ちいい空間を作り出しています。
簡単に言うとストレスがない空間です。
前々からストレスがない空間に興味がありました。
人が一番心地よいのはストレスがない空間にいる時だと考えるからです。

旅館やホテルなどのホスピタリティを追求する場合は
いかにこのストレスフリーの環境をつくれるかが重要になってくると思います。
暑くもなく寒くもなく感覚すべてが心地よいと感じる空間。
(もしかしたら人間にとっての一番心地よい場所は胎内なのかもしれませんね)

桂離宮に行くまでは中庸であることが重要な要素だと思っていました。
極端な環境はストレスになるからです。(全ての目盛りを「中」に合わせるイメージ)
しかし桂離宮に行ってみて、ストレスを忘れさせてくれる環境の方が
重要なのかと考えるようになりました。

なぜなら9月前半の夏みたいな暑さでも桂離宮にいると気持ちがいいんですよ。
冷房など何もないのに暑さを忘れてしまう。
畳とふすま越しに見る庭はとても心地よく、何時間でも居ることができます。
このことは鮮烈な驚きでした。

ところで前述の馬鹿馬鹿しさの目盛りで言うと、「桂離宮」は決して馬鹿馬鹿しくないですね。
苔寺と同じくらいの時間とエネルギーをかけているのに不思議です。
前回の続きになりますがこの馬鹿馬鹿しさって「男性性」と同じ意味のような気がしています。
かかる男性性とは「男のロマン」と呼ばれるような
「無駄そうで非現実的なものへの理不尽な情熱」のことです。
アマゾンの奥地に冒険に出かけたり、砂漠を横断したりするのって男ばかりじゃないですか。
恋愛時の女性から男性への一番の褒め言葉は「バカ」とか「アホ」らしいですよ。
(本気ではなく、可愛く言ってるのを想像してくださいね)
馬鹿な部分含めて全部許容できる意味合いですが
苔寺のような歴史的建造物にも同じことが言えると思いました。

桂離宮に関してそう感じないのは「女性的」な部分を持ってるからなのか。
確かに女性的な建築ではあるのですが。うーむ。

<つづく>
次は「摘草料理 なかひがし」と「9h」です。

おまけ

桂離宮と外との境界にあるこの生垣は実際に生きている竹を編み込んで
生垣にしているそうです。
なのでずっと青い状態で維持されるとのこと。
いやはや、なんとも。

カプセルホテルから桂離宮まで 2

長くなってしまったので、本文は次に書きます。
<つづく>

カプセルホテルから桂離宮まで 1

9月の前半に遅めの夏休みをとって京都へ行ってきました。

今回の大きな目的は老舗「俵屋旅館」に泊まることと「桂離宮」を見ることでした。
両方とも300年の歴史があります。

2泊3日の予定だったので最初は俵屋に連泊しようかと思ったのですが
もうひとつ行ってみたい所を思い出しました。
昨年できた「9h/ナインアワーズ」というカプセルホテルです。
ここはシステムがとてもよくできたカプセルホテルで
いわゆるカプセルホテルのイメージとはだいぶ違うと思います。

今回のエントリーではとくに結論めいたことは書いていません。
知識もないので一回行ったくらいでは何も語れません。
なので京都情報が書いてあるなというくらいに気軽に見てもらって
次に京都に行く際の何かの参考にしてもらえれば幸いです。
 

◎日程表

初日
西芳寺(苔寺)※

三十三間堂

桂離宮 ※

夕食:草喰 なかひがし ※

9h

二日目
進々堂

恵文社

俵屋旅館 ※
 
※印の部分を書く予定です。
 

初日はまず西芳寺からスタートしました。
ここは世界遺産にも登録されている苔寺として有名です。


 

広い面積の庭が苔で覆われているとても美しい庭園です。
しかし当たり前にこの庭が美しいと感じているのは、とてもすごいことだなと思います。
なぜならそう感じることができるのは、
裏でものすごくうまいプレゼンテーションが機能しているからです。

まずは苔に美を見出す感性がないと始まりません。
人々は苔に対してなんとなく美しさを感じているかもしれませんが、とても漠然としたものです。
道路の隅や塀に生えている苔を見ても、しみじみ美しいなぁとは感じないですよね。普通は。
しかし感性がとても豊かな人が苔に美を見出し、庭という形で具現化しました。
美しさというものは常にそういう風に、誰かが見つけて顕在化してあげる必要があります。

苔寺の場合、密度を上げ面積を広くすることで美の顕在化を目指しました。
しかし単純に密度を上げて面積を広くすると言っても相手が苔だけに気の遠くなる時間がかかります。
もちろん一世代だけでは完成しないので、
価値観をきちんと共有した後継者に知識や経験を伝えていかなければいけません。
また行ってみると分かるのですが、あれだけ広い庭を常に美しく保つ努力には頭が下がります。
毎日の維持管理だけでもそうとう大変だと思います。
美を見つけ、構想し、実現し、後継し、維持管理するということが積み重なって初めて、
ここを訪れた人が美しいと感じているわけです。

これらの作業を数百年間も続けていることはとても素晴らしく、
ある意味——こういう言い方は語弊があるかもしれませんが——実に馬鹿馬鹿しいことだと思います。
効率や常識を考えると馬鹿馬鹿しいことだからです。
しかし成功した偉大な建造物や人には必ず馬鹿馬鹿しいという側面を持っていると思います。
万里の長城然り。ピラミッド然り。
すごいのに出会ったら「よくぞ、まあ」と口に出てしまうあの感じ。
(『よくぞ、まあ』ってどういう意味かなと考えていたら
不遜にも『馬鹿馬鹿しい』って言葉に行き着いてしまいました。スミマセン。)

常識や経済性などを度外視した理不尽なモチベーションがないと、偉業は成し遂げられないですし、
その偉業がポジティブな馬鹿馬鹿しさを持てば持つほど、価値があるのだと思います。
鋭い感性、途方もない時間、膨大なエネルギーを惜しみなく費やしたこの苔寺は
「馬鹿馬鹿しくも美しい庭」だと思いました。

次は桂離宮です。

<続く>
 
※この馬鹿馬鹿しさってのは男性性とイコールなんだろうか?

いいなあー。

写真とは?デザインとは?の答えがここに。

引越し先

すいせいのウェブサイトのリニューアルともなって
ブログをこちらに引っ越しました。
今後ともよろしくお願いいたします。

リニューアル

すいせいのウェブサイトをリニューアルしました。
前のウェブサイトには思い入れみたいなのがあったのですが
そろそろ限界が来ていたので思い切って新しくしてみました。

しかし更新し易いよなー。RSSも付くし。

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