2010年10月

伊藤典礼

長野県飯田市にある葬儀会社の仕事を追加しました。

稔りの秋

週末は毎年恒例の稲刈りに行ってきました。
草取りでも紹介した麦草農場です。

稲穂は見事なまでに黄金色。
幸福の色ですね。
食欲がわく色ってあるんだなー。

今回は稲刈りだけでなくさつまいも掘りもお手伝いしました。

カプセルホテルから桂離宮まで 5

さていよいよ俵屋旅館です。

とても有名な旅館なので簡単に説明します。
俵屋旅館は京都で300年続く老舗旅館です。
旧館と新館からなり、旧館は全てではないですが今でも300年前の建物が残っています。
新館の設計は吉村順三、施工が中村外二工務店。日本建築の精鋭達です。
リピーターも多く、世界の名だたる有名人もよく宿泊しに来るそうです。
別に有名人が来るからありがたいとは思わないですが
俵屋のホスピタリティが世界で評価されていることが面白いと思います。
なぜならばここで提供されるのは純粋な日本のもてなしだからです。

旅館について検索すればブログなどでもいろいろと出てきます。
このブログでは建築家の目から俵屋を取り上げていて面白いです。

さて印象はと言うともちろん素晴らしい宿です。
ここほど豊かな日本文化に接することができる宿も他にないんじゃないでしょうか。
例えば建物中程には坪庭(上)みたいなのがあります。
常に屋外に接しているこの空間は窓がないので、台風が来たら雨が入り込んできますし、
雪の日には当然雪が舞い込みます。
旅館側からすれば相当効率が悪いことだと思うのですが、季節感を優先しています。
このような屋外と繋がった空間が旅館内に数カ所あります。
旅館内の掛軸なども普通に掛けてありますが、作者の銘をみるとほとんどが知っている人ばかりです。

旅館内で働く人々もとても感じがいいです。
丁寧で礼儀正しいのですが決して杓子定規ではなく、また慇懃無礼でもありません。
オーダーメイドのもてなしとでも言うのでしょうか。
会話や言葉の受け答えにマニュアルが全くみえないのです。
それにサービスする側も楽しそうなんですよね。

この部屋に泊まりました。

料理も素晴らしく、とても満足しました。
飲み物の日本酒を頼んだら、菊の花びらを箸でひとつひとつ杯に移してくれます。
重陽の節句だったかららしいですが、昔の日本にこういう文化があったことも知りませんでした。

夏の終わりの名残のハモ鍋(上)がまた美味い。
「なかひがし」では料理について書かなかったので、このハモ鍋を描写してみたいと思います。

熱せられた土鍋から、ハモ特有の香りが立ち昇り、部屋中が良い香りに包まれる。
鍋の中には京菊菜、椎茸、豆腐、そしてハモ。
丁寧に骨切りされたハモの切り身は、口内では初めざっくりとした食感だが、
噛むとジュワッと芳醇な出汁が滲み出てきて、ハモ特有のコクがある身に到達する。
舌で押しつぶせそうなくらいにホロホロと柔らかいその身は意外と弾力があり、
皮一枚で繋がっている身を歯で噛み切る際の食感がとりわけ気持ちいい。
コクがあり適度な脂がのった身と、
噛み切る時に少しだけ抵抗するゼラチン質の皮がハモの醍醐味であると思う。
鍋の出汁がまた格別である。
恐らくは焼いたハモの骨から旨味を抽出していると思うのだが、
鍋一杯くらいなら飲み干せる気になってしまう。
濃厚なコクと旨味があるのだが後味はすっきりとしているからだ。
魚編に豊で鱧とはよく言ったものだ。
この味を知ってしまったことは幸なのか不幸なのか
どうでもいい愚問の答えを探しつつ、京の夜が更けていくのであった。

たまにこういうベタベタな文章を書くのは気持ちがいいな。

すごくいい旅館ですがやや残念なところもあります。
まず新館の建物の意匠が吉村さんが建てた当時のものとは少し変わってきている点です。
メンテナンスやニーズに応えないといけないとは思うのですが
変更された箇所に変な印象を受けました。
吉村さんが設計して以降、全く手を入れていない部屋も見せてもらいましたが
そこでは変に感じなかったのでメンテナンスの問題だと推測します。

あとは俵屋のマークのTのロゴの使い方いささか過剰な点でしょうか。
ゴシックっぽい太めのTなのでワンポイントならいいのですが
多くなるとうるさいと思います。
ここら辺はデザイナー目線なので一般的には気にならないかもしれませんが…。

もちろんトータルでは満足できる秀抜な宿だと思います。

最後の日は11時にチェックアウトし市内を観光しました。
荷物だけは旅館に預けてあったので16時くらいに受け取りに行きました。
荷物を預けている旨を伝えると「暑かったでしょう」とわざわざ旅館内にあげてもらい、
パブリックスペースで冷たいお茶まで出していただきました。

こういうことってどういうマニュアルに書いてあるのかとつくづく感激しました。

カプセルホテルから桂離宮まで 4

桂離宮の興奮さめやらぬまま荷物を預けに9hにいきました。
9hを簡単に説明してみると、いままでのカプセルホテルの無駄な部分を徹底的に省略し、
残された部分のクオリティをとても高めたという感じでしょうか。

館内の印象はとてもいいです。
やりたいことがはっきりとしていて、また実現できている印象を受けます。
清潔感、全体のサインおよびグラフィックデザイン、照明、それぞれのディティールは
とてもレベルが高く、安心して過ごすことができます。
その細やかさは日本ならではだと思います。
翌日宿泊予定の俵屋旅館も日本的ですが9hもとても日本的。
切り口が伝統的か現代的かの違いだけだと思います。
もちろん宿泊料金こそだいぶ違いますが、そこは泊まる人の価値観しだい。
料金を押さえて他のことにお金をかけたい人には9hはとてもおすすめです。

とくに関心したのが水回りと照明。
ロッカールーム、洗面所、シャワー室は全部間接照明だったので光がとても柔らかいです。
こういう部分は一流ホテルと比較しても引けをとらないと思います。
アメニティもいい意味で簡素です。
※しかし後半になるとちょっと感想が変わるので最後までお読みください。

チェックインして「草喰 なかひがし」へ向かいました。

写真は外観のみ。食べログ等でもたくさん料理の写真が出てくるので
そちらをご参照ください。
ここでの2時間は至福のひと時でした。
どういう風に美味しいかは語るに足りる言葉をもっていないのでここには書きません。
なのでどれくらい美味しいかの一例だけを書いてみます。

最後のデザートに水出し珈琲が出てきました。
「へえー、和食屋なのに珍しいなあ」と思って飲んでみたのですが
これがいままで飲んだ珈琲の中で一番美味しい。
煎り立ての珈琲豆の香りがそのまま抽出さているのでとても香ばしく、雑味もありません。
美味しすぎて、思わず笑ってしまいました。
特別な製法らしいですが、非和食の素材をこれだけ研究してることからも
本職への情熱の量を想像することができます。
季節ごとに通いたくなる危険なお店です。
「桂離宮に泊まって、なかひがしの料理を食べたいね」と連れと
くらだないことを言い合いながら9hに戻りました。

ここから少し9hの印象が変わってきます。

さて寝ようと思いポッドと呼ばれる繭の中に入ったのですが
ここが完全に密閉できるわけではなく、薄い布製のカーテンで仕切るだけなのです。
当然外を歩く人の物音が聞こえてきます。なかなか睡眠に集中できない。
何よりも安全面はどうなのかと不安になります。
いくら日本が安全とは言え不特定多数の人が寝てるわけですから
きちんと管理した方がいいのではないでしょうか。
全体のクオリティはいいのでこのことだけが引っかかってもったいない印象です。
安全面が解決されたらまた泊まってみたいです。

<つづく>
次は俵屋旅館です。

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