繊細さと強さ

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今回は表現をする場合に大切なことについて。
僕は最近何かを表現する際に「繊細さと強さ」ってのが重要な気がしています。

繊細さとは感受性のこと。
ものを表現するってのはだいたいどの分野でも
他人が気付かない差異に敏感に反応するところからスタートするのだと思います。
それは料理人だって音楽家だって美容師だってデザイナーだって同じでしょう。
世の中をセンシティブに受けとめる個人的な感覚が作家の価値を決めるのだと思います。
そしてその道で仕事をしていくには、この繊細な感覚を研ぎすませていく必要があります。

個人的な話になりますが、デザイン科学生時の一番細い線の基準って0.5ptくらいでした。
しかしプロとして仕事をするようになると0.3ptと細くなります。
これは線に対しての感覚だけが鋭くなったのではなくて
より繊細な視点で世の中を眺めている結果だと考えます。
順序としては、繊細になったのでより細い線が認識できるようになったと…。

しかしここで難しいのは繊細になるってのは同時に弱くなるってことでもあるんですね。
なぜなら繊細な領域が広がると必然的に要らない情報にまで反応するようになるからです。
繊細後の世界では今までは何ともなかった細かいことが気になるようになり、
デザイナーなら「車内刷り広告のケバケバしい色が疲れるなあ」とか、
「変な書体使ってて嫌だなあ」とかまえより神経質な日常をおくらなければなりません。
長く健康的にものをつくっていこうと思うと
繊細さを受け止めるだけの精神的な強さも同時に獲得しないといけないのだと思います。

しかし精神的に強くなるってのはそんなに簡単ではないですよね。
「はい、あなた、明日から強くなってください」って言われても困ってしまいます。
ではてっとりばやく解決するのはどうすればいいのでしょう?

おそらく一番現実的で有効な方法は

・自分が嫌だと思う環境や状況にはなるべく近づかない。
・近づかないといけない場合は見ないようにする、考えないようにする。

ってことではないでしょうか。

自分が心地よいと感じる空間をつくり、なるべくそこから出ないようにし、
もし出る場合は嫌なものからは目を背ける。これが秘訣です。

ただこれだとプチ引きこもりみたいですけどね。
しかしモノをつくる人ってのは本質的に引きこもりです。
引きこもりじゃないといい作品はつくれません。
いままで外に出るのがすごい好きって言う作家はあまり聞いた事ないし、
好きな人は冒険家とかサッカー選手とかになるのだと思います。

そう考えていくと弱さってのは才能だし、
自分の弱さに意味を見出せる人が表現者ってことになるのかな。
日本に160万人いるヒッキーは表現者予備軍なのか??
(実際その可能性はあるでしょう。)

以上繊細さの傾向と対策でした。
 
 
※大きい声で言えないですが、世の中で強いって言われる人は往々にして鈍感な人が多いですね。
 耳障りな音の中でも問題なく作業することができる人は強いかもしれないですが
 優れた音楽家にはなれない気がします。
 つまり痛みに強い人ってのはそもそもはじめから痛みを感じてない場合が多いのでは…。
 もちろん世の中は多様性の海なので様々な人がいて成り立っているし、
 比較論として弱い⇔強い、繊細⇔鈍感ってことだと思いますが。

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