2012年6月

歌集『Yの森』

あたらしい仕事を追加しました。
http://suisei-suisei.com/book/1644/
 

反重力の料理

ずいぶんと更新まで時間が空いてしまいました。

仕事量とブログの更新は反比例するので
ブログの更新がない時は「あー、忙しいのかな」と
ご容赦いただけると幸いです。

僕の休日の過ごし方はいろいろですが
手軽さで言えば「料理」が一番手軽な気分転換になり、
また満たされない部分を埋めてくれるささやかなカタルシスになります。

美味しい料理の要素として味付けはもちろん、盛り付けも重要な要素です。
割合としては味付け8割、盛り付け2割くらいでしょうか。

洋の東西を問わずだいたいの料理の盛り付けのコツとして
皿にベタッとだらしなく広げるのではなく、
上へ上へと盛りつける方法があります。

なるべくフワッと空気が入っているように軽く仕上げると
わりと見栄えよく纏まる気がします。

この法則って重力の束縛から逃れたい本能というか、
欲求みたいなものが関係していると思いませんか。

地球上の生物は生まれてから死ぬまで、宇宙にでも行かない限り、
重力の影響から逃げることはできません。
立派にそびえ立っている木々も、やがては倒れ、朽ち果てて行きます。
自然に任せると全ての生物は重力に負け、地面にかえるしかないのです。

僕は人間の創造欲求の源のひとつが
この重力に対する反発にあるのではないかと考えています。
重力に対するストレスを発散させるために創造している、
というのが僕が提唱する「反重力創造起因説」(大袈裟だな)です。

立体表現の彫刻だと一番分かりやすいでしょう。
モニュメンタルにそびえ立つ彫刻ほど立派に見えるのは
重力から自由であるってことが彫刻のひとつの魅力だからだと思います。
万物は時間とともに落下して、地面との境界が曖昧になる事が世の常なので、
反重力を感じるものほど芸術的必然性が発生し立派に見えるのでしょう。
当然料理にも彫刻的要素があるので同じことが言えるわけです。

一方平面表現の絵画やグラフィックデザインとは、
無重力の平面上に任意に重力をつくることで、
重力から自由になる創造行為だと思います。

グリュンのポスターを例に簡単にご説明してみます。
ポスターのみはこちら。 
 
 

 
グラフィックデザイナーは意識的にしろ無意識的にしろ
このように重力を感じつつデザインしています。
自立しなければならないというような物理的属性を持たないため、
彫刻より抽象度が高い表現方法です。

しかし考えてみるといい料理人になるためのハードルってものすごくたくさんありますね。
芸術的感覚だけでも立体表現、平面表現、色感的表現。
加えて、味覚、嗅覚、手先の器用さ、アスリート的な運動神経、
体力的なポテンシャル、対人関係、経営感覚など。とても難易度が高い職業です。

休日にそんな料理人に敬意を払いながら、僕は気楽に料理を楽しんでいます。

写真
上:アスパラガスと塩昆布の胡麻よごし
下:豚肩ロースの煮込み 香味野菜のせ

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