2013年3月

デザインってどうやって考えるんですか?

先日「デザインってどうやって考えるんですか?」と率直に聞かれることがありました。
答えとして面白いかわからなかったので、その時はお答えしなかったのですが、
現在の思考のプロセスを自分自身ではっきりさせるために書いてみたいと思います。

まず一番始めにすることは

1 デザインの目的をはっきりさせる

例えばお酒のパッケージだとすると、
どういう市場にどういう商品を投入するかがとても重要になります。
漠然とした市場に漠然とした商品を投入しても効果を生むものにはなりません。
あるいはいままでは人口が多かったので
発売すればある程度の数字は確保できたかもしれませんが
これからはそういうわけにはいかないでしょう。
(テレビなどはいい例ですね。かつては三種の神器に入っていたので
売れて当然でしたが状況は変わり苦戦を強いられています)
やみくもに弾を撃っても、すぐに弾切れになるだけなので
この段階で効果を生む方向性をはっきりさせることはとても重要です。
理屈の煉瓦を積み上げるようになるべくロジカルに考え、
少しのことではびくともしない塔を築きます。

「目的」はよりシンプルな方がいいです。
何ページにも渡る文章ではなく、キーワードくらいの長さが理想です。
長過ぎる場合はおそらく方向性を絞りきれていないのでしょう。
道具を例にとれば分かりやすいですが、ひとつの目的はひとつの道具で解決するのが基本です。
色んなことを盛り込み過ぎるとどっちつかずになるのはデザインも同じだと思います。

この「目的」はご依頼段階で決まっている場合もありますし、一緒に考えることもあります。
またはこちらから提案させていただくこともあります。
※もちろん効果を生むってことは売れることだけを指すわけではありません

2 1を表現する

次の段階では導き出したキーワードを表現します。
デザインの実作業に入るわけです。
必要な資料・情報(もちろん記憶の資料も含めて)をたくさん集めて頭の中にインプットし、
適する表現をアウトプットしていきます。
ここでのポイントは1とは逆に、なるべく感覚的になるってことだと思います。
理屈ではなくあくまで感覚的に頭を使い、ひらめきを待ちます。
机に向かいすぐに思いつくこともありますが、むしろそういうことはまれで、
仕事から離れてリラックスした時に出てくることの方が多いかもしれません。
いずれにしてもはっきりとした目的(1)と充分なインプットが揃ってはじめて、
ひらめく瞬間が訪れると思います。

更に言うと客観的に判断したり完成度を高めるために「寝かせる」ってのも大事ですね。
「いいデザインができた!」と思ってもその瞬間は主観が入っているものなので、
しかるべき時間を空けて見直す必要があると思います。
少なくとも一晩は寝かせて、次の朝に見直す。
そうするとたいてい微修正した方がいい箇所が出てきます。
最初はもろかった粗鉄が火入れを繰り返すことで日本刀になるように、
デザインも「寝かせる→微修正」のプロセスを何度も経ることで打たれ強くなります。
これはデザインに限らずどんな分野でも同じかもしれません。

おおまかに言うとデザインするプロセスは上記のような感じでしょうか。
すごく調子がいい場合は瞬間的に全てを行うことができますが、
調子がいいことを当てにするのはプロではないと思うので、地道に考える作業を大事にしています。

デザイナーは外から見ると結構派手なイメージがあるかもしれないですが、
少なくとも自分はすごく地味な日々を送っております。
なので上記のような質問をされても、真面目に答えると面白くないんですよね。

「ひらめきを待つんです」ってのも
ちょっと神懸かっていてあんまり好きではないしなあ。ブツブツ。

加茂錦 梅酒

加茂錦酒造の梅酒をデザインしました。

僭越ながらフードディレクション&スタイリングも
担当しております。

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