2014年11月

馬にちなんだ交番とは

交番

なんでもそうだと思いますがバランスって大事ですよね。

宗教でもバランスが崩れると、原理主義的な方向に走ったりしますし、
コレステロールだっていまや悪の権化のように言われていますが、
過剰接種が問題なだけで、むしろ人間の体には必要不可欠なものです。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ってことってたくさんあります。

何かを表現する際もバランスはとても大事で、
とくに「理性⇔感性」の両方を働かせることは
デザインの仕事をして行く場合などはとても重要になります。
いや、重要というよりは、絶対的な条件ですね。

感覚的に夢中になって制作する一方で、理性を働かせて行き過ぎを防ぐ。
あるいは感性を思う存分に発揮したいので、ロジックをしっかり組み立てておく。
いつも主観と客観のバランスをとることを心掛けています。
文字の歴史的背景を調べるのも、ただカッコ良ければいいというだけでなくて、
理性的な視点を持ちたいからだと思います。

冒頭の写真は「馬事公苑」に隣接する交番です。
馬事公苑というのは世田谷区にある、かつての騎手の練習場で、現在では一般開放されています。
そのわきにある交番だから入り口に蹄鉄がはまっているんだと思います。

たまたま通りかかって、わかりやすい例だなと写真を撮りました。
こういうサンプルとして取り上げるのはちょっと気が引けるのですが
なんとなく馬鹿っぽいゆるさもあって
これはこれで憎めない魅力があると思うのでご容赦ください。

なぜ交番の入り口に蹄鉄がはまることになったか推測すると、
「せっかく馬事公苑に隣接する交番なのだから、何か馬にちなんだものがいい」ということになり、
「じゃあ、アーチ型の蹄鉄を入り口につければいいじゃないか」と考えたからでしょう。
どこの誰の発案かはわかりませんが、とにかく理屈だけで考えてしまい、
周りにも「それはちょっと変じゃないですか?」と指摘してくれる人もおらず、
感覚方面からのフィードバックなしに最後まで進んでしまったのだと思われます。

こういったことは世の中ではよくあるので、とくに珍しくはありません。
交番をつくるような役所系の仕事ではごろごろしてるでしょう。

逆パターンの「感覚としては正しいけれど理屈としては間違っている」という例もあります。

建築で言うと80年代に流行ったポストモダンはそういう傾向が強いでしょうか。
それまでの機能主義に反発して、感覚的に設計する気運が高まり、
過度にデコラティブだったり、伝統や地域の脈絡が断絶されたフォルムの建物が量産されました。
とくに日本のバブル期に重なったものは経済力が後押ししたためか、悪い意味で本領発揮されていて、
いま見ると冷や汗がドバッと出てくるものが多いです。

どちらにせよバランスを失しているものは後から冷静に見てみると無理があり、
ロングライフなデザインではないと思います。

大事なのは、流行に左右されないためにも、バランスの取れた指針みたいなものを
普段から自分の中に持っておくということでしょうか。
自分が理想とするデザインとは何か?と「理性⇔感性」の両方を働かせていつも考えておけば
ブレ幅をだいぶ低く抑えられる気がします。

例えば、現在グラフィックデザインはポストモダンの方向に振り子が動いていますが、
そんな時にどう振る舞うのか。
いきなりだと難しいかもしれませんが、普段から考えておくと割と簡単に答えが見つかる気がします。

ブログを書くのも、実は結構そういったことの備えになりますね。
そのために書いているわけではないですが…。

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