2016年9月

ブランドとはなにか?1

ちょうどいま大学でブランド・アイデンティティについての授業があり、
ブランドとはなにか改めて考えている。

人に教える機会があると、普段あいまいに捉えていることを、再確認させられる。

あいまいなままだと学生には伝わらないし、
本などの受け売りなら自分が授業をもっている意味がないからだ。
デザイナーとしてのいままでの経験から、物を言うのは大事なことだと思う。

さて表題であるが、ブランドと言えば一般的にはappleやSTARBUCKS、
日本だったらSonyなどの企業が思い浮かぶだろう。

もちろんその認識で間違いないのだが、現在では様々な局面で使われることが多い。
数十年前までは主にファッションブランドを指していたその言葉は
いまではだいぶ裾野が広がり、なにをやるにしてもつきまとってくるようになった。
きちんとブランディングができていないと、ラーメン屋を開くにしても、
お笑い芸人を始めるにしても、上手く行かないような気がする。

ではそもそもブランドとは一体なんなのか。
授業にあたって改めて考えたことをまとめてみたい。

問いの立て方として

ブランドの定義とは?
いいブランドとは何か?

という流れで進んでいきます。

前述のように、現在ではひとくくりにブランドと言っても、その意味は広範囲に及んでいる。
企業はもちろんのこと、商品やサービス、建物、空間、個人の活動などもブランド化している。
範囲が広がり過ぎたため実態がつかみずらくなり、ブランドやブランディングという言葉に
胡散臭さを感じる人も多いのではないだろうか。

しかしブランドやブランディングの本質は
マーケットで生き残っていくための知恵のようなものであり、けっして表層的なものではない。
範囲が広がっているのはどんな分野でも有効だからだ。

例えば地方都市にある小さなネジ工場(こうば)はブランドと言えるだろうか。
あるいは商店街にある家族経営のお豆腐屋さんはどうだろう。

ブランドとは言えないケースが多いだろうが、必ずしもそうとは言い切れない。

圧倒的な技術力により、世界でもトップクラスの精度のネジを生み出す工場であれば
ブランドとして成立する。
中毒になってしまうくらい美味しい豆腐をつくっているのならばブランドになり得る。

ではブランドになるネジ屋とそうでないネジ屋を隔てているのはなんであろうか。

ひとことで言ってしまえば、オリジナリティである。

マーケットにおいて他社と「カブらない価値」が
ブランドになるかどうかを分けることになる。

なのでどんなにアクセスが悪い場所にネジ屋があったとしても、
世界中でそこでしか手に入らない製品を生み出すのであればビジネスとして成立する。
(もちろん交通の便がいいに越したことはないが)

つまり他の人がやろうとしない、あるいはできないポジションをマーケットに見つけて、
そのポジションが世間的に有用であればブランドになるのだ。
そしてそのポジションを見つけることをブランディングと呼ぶ。

そういう意味で「カブらない価値」を見つけることは普遍的に求められることかもしれない。
例えば商売ではなく、絵を描いたり、小説を書いたりする仕事でも
カブりが少なければ少ないほど活動がしやすいからだ。
もっとも作家にとってブランドの確立は古来より意識されてきた。
「オリジナリティがある」という一番の褒め言葉は
ブランディングがきちんとなされているという意味に他ならない。

ではブランドの定義はわかったとして、いいブランドとはなんだろうか?
どんなブランドを人はいいブランドだと認識するのだろうか?

こういう質問でもいいかもしれない。

例えば家電量販店に行ってデジカメを買おうとする。
聞いたことがないメーカーのデジカメとCanon製のデジカメが並んでいる。
同じ価格、同じスペックの製品である。

その場合にはどちらを選ぶであろうか。

ほとんどの人はCanon製を選ぶだろう。僕だってむろんそうである。

なぜ人はブランド品の方を選ぶのだろうか?
普段無意識のうちに取っている行動を分析すると答えが見えてくる。

続く

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