2016年10月

ブランドとはなにか?2

前回はこちら
ブランドとはなにか?1

品質を超えるイメージがある
認知度がある
スタイリッシュなイメージがある
安心感がある
歴史がある
機能性がある
ビジョンがある
将来性がある

上記は、いいブランドとはなにか?という質問に対しての学生の答えの一部である。

まあ想定の範囲内であるが傾向としてイメージ戦略的な答えが多かった。
消費者にいいイメージを刷り込ませたり、
もっと言えばブランドを超えるくらいのいいイメージを
認知させている企業がいいブランドというわけである。

この感覚は世間ともそんなに離れていないような気がする。

ブランディングという局面では、とかくイメージが大事になってくるので、
スタイリッシュな広告やデザインなどをどの企業も求めるようになり、
実態とはかけ離れたいいイメージを認知させることが
あたかもブランディングの本質のように捉えられている向きがあるように思える。
もちろんスタイリッシュさを全て否定するわけではないが
それはあくまでケースバイケースで導き出された答えであって
全てに敷衍することはできない。
スタイリッシュであることは表現方法のひとつにすぎないからだ。

僕は常々「ブランド」と「人」は似ていると感じている。
ブランドは人の集合が作り出すものであって、表向きは多種多様だが、
奥には人がいて成り立っている。

つまり「人と人との関係性」でなにが大事かを考えると
「ブランドと人との関係性」も見えて来るのではないだろうか。

人と人との関係性で一番大事なのは、言うまでもなく「信頼」である。

信頼がなければそもそもの関係性を築くことができず、物事は前には進まない。
家族や友人との近しい関係性も、ビジネスでの広い関係性も、
領域と規模さえ違うが、全て信頼をベースとしている。
もろくはかないものなので嘘をついたり、約束を破ったりするとすぐに壊れてしまう。

ブランドも同じで、消費者との信頼関係がなければ前には進まない。
誇大広告で実態よりも良く見せようとすると、
一時的には収益は上がるかもしれないが、結局はブランドを毀損することになる。
実態を超えたスタイリッシュなイメージも長い目で見ればプラスには働かないことが多いだろう。

前回「人はなぜブランド品を買うのか?」という質問をしたのは
ブランドの本質を問いたかったからだ。
人は商品が優れているという理由だけで買っているのではなく、
消費行動の奥底では「信頼」という意識が働いている。
iPhoneが世界中で10億台も売れたのも、優れたデザインに加えて、
期待以上のものをいつも提供していたからだ。
もっと正確に言えば、期待以上のものを提供できるという信頼関係を
消費者と結んでいたからである。
ブランド展開としては、高まった期待に応えていけるのは最も理想的であるが、リスクがともなう。
そのことは、appleの業績が現在低迷しつつあることからもご理解いただけるであろう。

質問の答えをまとめると「消費者と信頼関係を結ぶことができるブランド」が
いいブランドということになる。
もちろん前回書いたようにブランド自体にオリジナリティがあることは前提である。
オリジナリティがなければただの商売になってしまうし、
ただの商売は今後、この猖獗を極めている資本主義社会の中では生き残っていけないだろう。
オリジナリティがなくても生き残っていけるのは最大手だけである。

信頼関係を築く際に大事なのはブランドのスケールにあったコミュニケーションを選ぶということだ。
上げた期待値を回収できなければ信頼関係を壊す。
とても当たり前のことであるが、周りを見渡してみると、よりよく見せようとすることで
うまく行っていない例があまりにも多いと思われる。

今後ますます加速化していくグローバル経済、高度化していく資本主義の中で、
中小規模で展開しているところほど、このブランドという概念が有効なのではないだろうか。
規模に関係なく、考え抜いたアイディアを武器に大手とも戦って行けるからである。

その際には根本的なところを疑う視点が大事になってくる。
なぜその製品をつくらなければいけないのか?、なぜそのサービスを行わないといけないのか?
あるいは存在自体が世の中にとって必要なのか?
根本的なことを疑うことは苦痛がともなうが、問題点が見えてくることは悪いことではない。
見えてくればあとは徐々に改善していけばいいからだ。
そういった視点を持てない、問題点が見えない場合の方が危機的状況だと思われる。
 
<終>

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