2017年1月

今年の抱負

もう若いと言えない年齢に昨年あたりから突入していて、
弱ったなあと感じているのですが(ええと、真剣に弱っているわけではないです)、
それでも年を重ねることは悪いことばかりではないとも思います。

今年の抱負は、年齢とデザイナーについての話です。
こういう話題は必然的に一般論に寄るものですが
このエントリーもご多分にもれず、そっちの方向に引っ張られています。
 
 

◎跳ね返すラケットの深度

感覚の鋭さはデザイナーにとって財産のようなものだから、
年とともに感覚が鈍化すると、
デザイナーの能力も比例して衰えていくのではと、
一般的には考えられているかもしれない。
確かに、ビンビンに尖ったナイフの先端ような感覚を持つ若いうちが、
表現活動をしている職業としては華という意見も受け入れなければならないだろう。
ここでも書いたように、ある種の感覚が、
年齢とともに鈍化していくことは避けられないからだ。

しかし反応速度の遅さが感覚の鈍化と同列に論じられているとしたら、
それは間違いだと思う。
年をとり、反応速度が遅くなったとしても、
そのことが感覚の鈍化に必ずしも直結しているわけではないからだ。
むしろその遅さにこそ、年を重ねたことの機微のようなものが現れてくるのではないだろうか。

ではなぜ年が上がるにつれて反応速度が遅くなるかというと
経験の蓄積がそうさせるからである。

ある程度の期間、仕事をしていると、過去の失敗例や苦労したこと、
或いは成功例などがケーススタディとしてインプットされてくる。
そうすると、いっけん単純そうな案件でも背後に不安材料や不確定要素が
透けて見えるようになるので、瞬間的には答えを出しにくくなる。
簡単に言えば「いろいろと考えてしまう」ということだ。

名刺などを黒一色で刷る場合でも、
紙質によっては色の濃度が出ない場合があるので
細かく指定しないといけないと熟練のデザイナーなら考えるだろう。
経験があると黒を刷るだけでも慎重になってしまい、
インクのメーカーや種類まで指定してしまう。

逆に若いと、失敗や成功の経験が少ないので、すばやく反応できる。

20代はまだラケットが硬く、ボールが表面に触れている時間が短い分、
力強い直球をすぐに返すことが可能だ。
年齢を重ねるとラケットの表面が、ボールを包み込みこむような
厚いクッション性を帯びてきて、保持時間が長くなる。
跳ね返すまでの時間は長くなるが、
ボールは若いころよりも安定した軌跡を描きやわらかく飛んでいく。
比喩的に表現するとそんな感じだろうか。

どちらも一長一短なので、保持時間が長いと良く、短いと悪いというわけではなく、
そのときにしかできない表現はそのときにしておけ、ということだ。

これからはやはり安定したボールを返せるようにならないといけないと思います。
経験というふかふかのクッションをラケットに敷き詰めて、
どんな難しい球でもきちんと返せるようになる。
反応速度が遅くなる代わりにそんな方向を目指したいです。

ま、そうは言っても、クッションがぶ厚過ぎて、
ボールがラケットからなかなか離れなくなるのはNGですね。
保守的ではなく、進歩的にならなくては。

以上今年の抱負でした。
 
 

酉年

酉

本年もよろしくお願いいたします。

すいせい
代表
樋口賢太郎

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