その大きな穴を埋めるために

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国立新美術館で開催されている草間彌生展「わが永遠の魂」に行ってきました。

初期の頃のコラージュから立体、インスタレーション、最新作まで変遷を追って展示してあり、
草間彌生のことがよくわかる充実した内容です。

いやー、あやうく落涙しそうになるくらい良かった。

生きることと描くことが不可分に結びついた草間彌生の姿勢から、
なにを追い求めて活動してきたのか、またなぜ追い求めなければならなかったのか
理解を深めることができました。

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人が絵を描くのって、なにかしら満足していないからですよね。
日常が満ち足りていれば、わざわざ絵なんて描かなくていいわけですから。
(だって誰にも頼まれてないし、なくて困るものでもないし)
根本的に自分の欠落を埋めるために、人は絵を描いたり、
音楽を制作したり、小説を執筆したりしてるわけです。
言い方を変えると、絵を描く人は、絵を描かなければならない分、
不幸であるということです。
才能があるってことは端からは幸福に見えますが、実は本人は大変なんですよね。

草間彌生の場合は幼少期から幻覚や幻聴に悩まされており、
その対処療法として絵を描いてきた経緯があります。
欠落部分が他の人よりも大きかったため、より切実に穴と向き合い、
埋める作業をしなければならなかったのでしょう。
その切実さは作品の飛び抜けた質と量からひしひしと伝わってきます。

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おそらく展示を訪れた人の多くはこう思うのではないでしょうか。

これだけ制作しても埋まらない穴ってどれほど大きく深いのだろうと。
もし自分が同じような欠落を持っていたらどうしただろうと。
そして、人間には、こんなに大きな穴を前にしても逃げることなく、
勇敢に立ち向かい、88歳の現在まで制作を続けることができるんだと。

長きにわたって精力的に活動することで見えてくる穴の存在と
それを埋めようとする旺盛な制作エネルギーには
生きることの意味や尊さを再定義するくらいの可能性を感じました。

生きることを価値転換できるって凄いですよね。

草間彌生 わが永遠の魂
2017年2月22日(水)- 5月22日(月)
国立新美術館

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