加茂錦のお話のアーカイブ
加茂錦ウェブサイト
長年リニューアル中になっていました
加茂錦のウェブサイトを公開しました。
http://kamonishiki.com/
ご協力いただきましたみなさまありがとうございました。
アートディレクション&デザイン:樋口賢太郎
写真:加藤晋平(一部樋口賢太郎)
プログラミング:中野健二郎
新しくデザインしました祝酒も購入することができます。
加茂錦のお話 4
黄酒というお酒の為のポスター。
黄酒のパッケージ
黄酒はフィルタリングしていない黄色いお酒で、日本酒本来の味を楽しめます。
文字から中身が透けるというパッケージのアイデンティティがしっかりしているので
そのアイデンティティをそのままポスターにしました。
黄酒の詳細についてはこちら
http://suisei-suisei.com/contents/kamonishiki/kamo_kishu.html
写真:伊藤菜衣子(Saiko Camera)
加茂錦のお話 3
加茂錦酒造のポスター5枚です。
モニターでは分かりにくいかも知れませんが
モデルの方たちはお酒を飲んで赤い顔をしてらっしゃいます。
一見普通の肖像写真のようですが…、というコンセプトです。
このポスターでいままで届かなかった
新しい客層(女性や若い方など)にアプローチするのが狙いです。
写真:伊藤菜衣子(Saiko Camera)
レタッチ:石井春奈(Lune)
ヘアメイク:スガタクマ、風間久美子(2枚目のポスター)
撮影にご協力いただきましたみなさま、誠にありがとうございました。
加茂錦のお話 2
経営戦略とデザイン戦略をきちんとマッチングさせる為に商品だけでなく
ロゴマークをデザインし直し(上記)、ポスターも制作しました。
ロゴマークなどをきちんと機能させれば加茂錦の伝えたいことをもっと明確に伝達できるからです。
日本酒のデザインの難しさは「伝統性」と「現代性」にあります。
例えばIT会社のロゴをデザインしてくださいと言われた場合には日本の伝統性とはほとんど関係なく
デザインできると思います。なぜならITの出自が伝統文化とは無縁だからです。
しかし日本酒は連綿と受け継がれている日本文化と密接に関わってきました。
古事記では八岐大蛇を退治する重要なモチーフとして登場しますし、
現在でもお祝い事や神事等とは切っても切れない関係です。
そういう歴史的背景を持つデザインは実はデザイナーがうかつに手を出せない畑でもあります。
きちんと日本文化を理解し、良い部分を受け継がなければ
表面だけをまねた薄っぺらいものになってしまうからです。
いわばフェイクの表層だけのデザインは短期的に売れことはあるかも知れませんが
市場で長く戦うのは難しいでしょう。
かと言ってありきたりの筆文字で描かれたロゴだと他社製品と差別化ができません。
市場で長く戦えるというのが「現代性」の意味です。
いかに新しい価値を作れるかが重要なポイントなので市場で埋もれてしまっては意味がありません。
ロゴをデザインし直したのもそういう理由からです。
新しいロゴを作るにあたって加茂市を数日かけて探索し、イメージを固めました。
新潟県中部に位置する加茂市は「越後の小京都」と呼ばれるなかなか風情あるところです。
名前の加茂も古くからゆかりがある京都に由来し、街の中心を粟ヶ岳を源泉とする加茂川が流れます。
加茂錦のお酒はその加茂川の伏流水を使って作られます。
ロゴマークでそのストーリーをビジュアライズしました。
上部の山が粟ヶ岳で、流れるようなラインは加茂川を表しています。
下部のラインは「加」の中国の古い文字の偏を用いています。
加茂錦のお話 1
現在新潟県加茂市にある「加茂錦」という
日本酒蔵元のブランディングを担当させていただいております。
実は自分が新潟生まれ(熊本育ち)ということもあり
仕事の話をいただいた際はどこか懐かしく
他の仕事とはちょっと違った心持ちでお引き受けしました。
数年前に初めて社長さんにお会いして以来、いろいろな話をさせていただいているのですが
最初はデザインの概念を共有させていただくことから始めました。
世の中でデザインと言うと、何か飾りのような要素を付け加えたり
イラストや絵を描く職種だと思われていることがとても多いと思います。
これは経験則から導きだされた答えなのですが
デザインを依頼された時点でたいてい商品の名前も、売り方も、
ターゲットも、値段も決まっています。
デザイナーに求められていることはただ単にラベルの絵作りだけ。
デザイナーとはイラストレーターのことかと思うこともよくあります。
脚色すること自体を完全に否定はしないですが(言ってる意味が分かる時もあるので)
全ての局面で脚色したり絵を描くことで問題が解決することはほぼ無いと思います。
デザインとはデザインすることで何かの効果を生まないといけません。
簡単に言うとパッケージであれば沢山その商品が売れることがデザインの効果であるし、
ロゴマークであればその会社の目的がなるべく多くの人に認知されるのが効果であります。
それぞれの目的と効果を冷静に考えていくと
単純に何かを飾るということで目的が達成され、効果が生まれるとはとうてい思えないはずです。
時には明治チョコレートのように
何もデザインしないという選択肢が結果的には効果を生むことだってあるはずなので・・。
例えばパッケージにおけるデザインとは、まず初めに優れた商品のアイデンティティを確立し
そのアイデンティティを、そのままパッケージに反映することです。
NO IDENTITY , NO PACKAGE 。つまりアイデンティティが全て。
核となるアイデンティティがぶれていては当然デザインもぶれるので
依頼された時点でアイデンティティがぶれていたら
僭越ながらそちらも修正させてもらわなければなりません。
(余談:これはデザイナーを代表して申し上げるのですが
できればアイデンティティをつくる部分からデザイナーには参加させていただきたい。
その方が結果としてうまく行くし、良い商品ができると思います。)
そういうようなお話をさせていただいて
デザインには全部意味があり、感覚的に情緒的に仕事するのではなく
経営戦略にきちんと即したデザインをしたいとお願いしました。
いま加茂錦でとても売れているお酒に「米袋の酒」というものがあります。
簡単に言うと細長いプロポーションの米袋に酒瓶を入れたお酒です。
新潟は他の県とは違いの日本酒の本場というイメージがあります。
酒どころ、米どころ、ひいては水どころでしょうか。
優れたお米+よい仕込水+適した気候風土なので新潟のお酒は品質が高い。
そのようなイメージをデザインに生かさない手はありません。
そこで提案させていただいたのが米袋のお酒なのです。
新潟のイメージをパッケージにいかせないかと考えたときに
瓶が自然と米袋のなかに入りました。
<続く>
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