デザイナー樋口賢太郎が
綴る日々のことです
民藝的グラフィック選 2
街中にはポスターなどいろんなグラフィックデザインが溢れていますが
この投稿ではプロではないと思われる人達によるデザインを
民藝的グラフィックと命名し、勝手に選出させていただきました。
狙っていない良さ、無自覚さが最大の魅力です。
上は明大前のフォトコンテストのグラフィック。
「明」の上に文字を重ねようとはなかなか思わないって、
その考えがデザイナーの固定観念に陥っていることを痛感させられました。
やはり発想はこのように自由でないといけないですね。
色のチョイスもいいですし、承認印を真ん中寄りに押されても
びくともしないデザインの堅牢さも見倣わないとと思いました。
初午(はつうま)とは、2月の最初の「午の日」をさし、
稲荷神のお祭りが行われる日とのこと。
黄色バックに青の文字、イラストが映えています。
素朴ながらも神秘的な雰囲気なイラストにじわっとした味わいがあります。
旧山手通り沿いにある材木場。
シンプルに明朝体だけで組まれた社名がいいですね。
これはなんといっても宇田川木材という言葉の美しさにつきます。
文字並び、音の響きなど、それらが喚起するイメージが豊かなので、
もし自分にデザインを依頼されたとしても極力いじりたくない。
でも明朝体を打っただけだと手を抜いていると思われて、
プレゼンは通らないだろうなあ。
宿命的にデザイナーは水平垂直に合わせるのが好き、あるいは45度。
こういった矢印の傾きも無意識に水平に合わせてしまいがちですが
ぎりぎりの傾きに面白さがあることを、再認識しました。
こちらも固定観念から解き放ってくれるデザインです。
無骨でアイコニックなイラストに魅せられました。
by 服部一成と言われても信じてしまいそう。
ぜったい理解して描いてないだろ、とつっこみたくなる手の形に魅了されます。
しかし一見無骨に見えながら、スミ100%ではなく、
ダークグレーにしているところに高度なテクニックを感じ、
もしかしたら本当に服部一成?なのか。
鎌倉の有名なカフェのコーヒー袋。
カフェのデザインは自分もやったことがありますが
これくらいがちょうど良いのではと、思わされてしまう説得力があります。
デザイナーの手が入ったものは、ときに息苦しさを生んでしまうので
カフェのデザインなどは、手書きくらいがちょうどいいのかもしれません。
ただ逆に手書きが増えすぎると、バランスが悪くなるのが難しいところ。
補色の鮮やかさが食欲をそそります。
「麻婆」「肉」「玉」など所々、色が変わっているのが効いてますが
なんといってもこのグラフィックは達筆さによって成立していると思います。
筆文字 ver.が見てみたい。
いわゆる民藝とは違うかもしれないですが
果物が入ってそうな容器にゼリーを入れるそのズラしかたが
秀逸だなと思いました。
以上民藝的グラフィック選でした。
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