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デザイナー樋口賢太郎が
綴る日々のことです

台湾記

2024.08.31

先月末にかけて4日ほど台湾に行ってきました。

 

短い滞在でしたが、全体的な印象としては新しい国という印象が強く、
当初期待していた歴史の厚みみたいなものは、本土と比べると希薄かなという印象を持ちました。

 

中国本土に刻まれた歴史の密度は、それなりのボリュームの人の積み重ねが生み出したもので、
文化大革命を経たとしても、そんな簡単には消し去ることはできなかったのではないかと想像しました。

 

台湾はもともとポリネシアン系の人々が住んでいたところに、17世紀頃漢民族が移住した歴史があり、
活動してきた長さは本土と比べるまでもありません。
台湾で一番古いと言われる寺院でも1738年に建てられています。

 

ただその分、風通しが良いというか、オードリー・タンのような若い政治家が活躍する民主的な土壌が豊かで、
中国文化をルーツとする国が、共産主義でない方向に進んだ場合にどのようになるのか、その答えが示されていました。
全然成り立ちは違いますが、同じアジアの島国で、中国文化に影響を受けながら形づくられてきた日本にも似ており、
歴史的背景は抜きにしても、心情的に親しみやすさを感じるのかもしれません。

 

今回台湾で一番楽しめたものはやはり食べ物でしょうか。

 

多種多様に創意工夫された料理は興味深かったです。
後半お腹を壊して、じゅうぶんに満喫とまでは行きませんでしたが、大人数だったこともあり、
いろんな種類のメニューを楽しむことができました。

 

印象に残っているものとしては

 

鶏料理

紹興酔鶏や白切鶏など。こういった鶏料理は、ベトナムなど広く東南アジア圏でも食べることができるので、
けっして台湾ならではないですが、やはり鶏料理の中でも白眉だと思います。
似たような調理法で鴨も食べましたが、鶏でも鴨に近いくらいじゅうぶんに味が濃い。
ブロイラーなどでなく、きちんと生育された鶏は蒸すだけで満足できる逸品になるのがわかります。
美味しいのに日本ではなぜ一般化しないのか謎です。

 

シジミのスープ

写真右上。シジミの旨味が溶け出したスープがしみじみと美味しかったです。
台湾・中華料理って味が濃厚なイメージがありますが、
有名な牛肉麺をはじめ、ある種の料理に関しては日本料理よりも淡白であっさりしているなと思いました。

 

鹹豆漿

説明不要な鹹豆漿。とても満足感がありながら、植物性のタンパク質がメイン。
中に入れる具やトッピングを変えることでさまざまなバリエーションがつくれるのもいいですね。
日本でももっと普及してほしいです。

 

ラーメン

塩味ベースのスープにセロリ(芹菜?)のような香りがアクセントとして効いています。
これもとてもあっさりながら滋味溢れ、万人受けする味ではないでしょうか。
サッポロ一番の塩味のルーツは、このラーメンあるのでないかと、同行メンバーとも話していました。

 

牡蠣のオムレツ

最初ちょっと高めのレストランで食べましたが、ただのオムレツだったので屋台で食べ直し。
この料理はネットにあるレシピを見ながら何度かつくったことがあるのですが
いまいち正解がわからず、ようやくありつくことができました。
牡蠣はややもすると生臭みがありますが、焼いた玉子と合わせることで香ばしさが加わり、気にならなくなります。
それぞれの素材のいいところが引き出されている料理だと思いました。

 

ルーローハンは合計3回食べ、なんとなくアウトラインは見えてきたかなという印象。
想像よりも甘くなく、肉類はすべて細かく刻んで煮込まれていました。
お店によっては豚足などのゼラチン質の部位も入っており、
豚をあますことなく合理的に使い切ろうとしたソリューションとしては最適だと思いました。
ただ日常食ゆえ、逸品としてクローズアップしていくと、そういった意味での合理性が薄くなっていくので、
この料理に関しては美味しさを求めすぎないほうが正解のように感じました。

 

中国圏で料理を食べるとジャンルの掘り下げ方がすごいなあと毎回感じます。広く深くなんですよね。
日本の場合は、オタクという言葉の発祥からもわかるように、なんでも狭く深くが基本だと思いますが
中国はあらゆるジャンルが深く掘り下げられていてすごい。

 

写真はないですが、蘿蔔絲酥餅というパイ生地の中に大根を入れて揚げたものも素晴らしかったです。
大根が持つ甘めの味と香りがパイとマッチしていて、こういう料理がある中華料理ってつくづく偉大だなと思います。

 

心配していた暑さも、日差しは強いですが、日陰に入ると涼しくて凌げました。
日本(東京)のほうがよっぽど暑い。

 

とりあえず当初の目的は果たせました。流れでいくと次は香港かな。

 

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