すいせい

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このブログは
デザイナー樋口賢太郎が
綴る日々のことです

 

ファッションっぽい、スポーツ飲料っぽい、ITっぽい、イギリスっぽい、
縄文っぽい、化粧品っぽい、洋菓子っぽい、クラフトっぽいなど
具体的ではないけれど、雰囲気のようなものをつくっている「○○○っぽい」デザインの要素ってあります。

 

例えば以下の紅茶飲料のデザインが醤油っぽいと話題なっていました。
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2204/09/news064.html

 

あるいはこの記事では「○○○っぽさ」をわざと入れ替えて、その違和感を楽しんでいます。
https://dailyportalz.jp/kiji/160121195543

 

自分はデザイナーなので、デザインを分析的に見ていますが、
たぶん多くのひとにとってこういう「○○○っぽさ」がデザインなんだと、最近思うようになりました。
まあなかには詳しく見るひともいるとは思いますが、だいたいは「○○○って感じ」だったり
「○○○のようだ」などのあいまいな印象で受け止めているのではないでしょうか。
プロでもない限り、形や色や素材、使われているフォントなど仔細には見ないし、ましてや分析もしない。

 

このことは別に揶揄しているわけではなく、例えばまったくの素人の分野である音楽を、
自分が楽しむときは、音階やリズム、使っている楽器の種類などにけっして注意深くありません。
あくまでいい音楽だな、好きなメロディーだなという印象論でしか受け取っておらず、
適当にというかリラックスして向き合っています。客観的に考えればとても簡単なことですね。

 

でこのことってデザインの核心をついているのだと思います。

 

いくらデザイナーが素晴らしいものができたと感じても
雰囲気みたいなものが合致しないと、世間には好意的には受け入れられないからです。
いいことではないですが、むしろ表層的な○○○っぽいデザインができていれば受け入れられます。
逆に言うとデザイナーは雰囲気もつくれないとダメなんですね。

 

以前恩師に「デザインを見るのはデザイナーだけだ」と言われたことがありますが、
いまではしみじみそうだと感じますし、多くのひとはデザインそのものではなく周辺を見ているのでしょう。

 

今年も残すとこあとわずかですが、下記の通り休みをいただきます。
ご不便をおかけしますが、何卒ご理解いただきますようお願いいたします。

 

◎年末年始休業期間
2023年12月31日(土)~ 2024年1月8日(月)

 

和火やってます。

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出張@那須

2024.05.28

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下記の通り、休みをいただきます。
ご不便をおかけしますが、何卒ご理解いただきますようお願いいたします。

 

◎年末年始休業期間

2024年12月28日(土)~ 2025年1月5日(日)

 

すいせい

代表

樋口賢太郎 

 

 

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本年から鎌倉のほうに事務所を移転いたします。
土地を購入し、時間をかけて建築計画を進めて参りました。

 

いま拠点としている世田谷区は緑も多く、利便性も高い環境なのですが、
もっと自然を感じられる場所で暮らしたいという本能的な感覚がだんだんと強くなり、
事務所+自宅が建てられる土地をいろいろと探し回っておりました。
山だけでなく海もあるのが鎌倉を選んだ理由です。

 

そういった環境が与える影響がどのようなものなのかわかりませんが
自然が近くにあることで得られる豊かさをデザインに反映し、
よりクオリティが高い仕事をしていければと考えております。

 

家を建てることははじめての経験で、当然積もる話はたくさんあります。
コンセプトというか、どのような方針で考えていったのか、
その内容はまた別の機会に譲ることとし、転居の報告とさせていただきます。

 

すいせい
樋口賢太郎

 

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年始にお伝えしていましたように、鎌倉に移りました。

 

工期が遅れていたのと、内装を部分的にDIYでやっている関係で、予定よりも時間がかかってしまいましたが、
今月のはじめ頃に引っ越しました。

 

まだまだ未完成を残していますが、住みながら少しづつ完成させていこうと考えています。

 

今回の家づくりで意識したのは、日本的な建物にしたいということ。

 

◎素材コンシャス

◎シンプル

◎地域性

 

これらの3つの要素を日本的と捉え、指標としました。

 

素材コンシャスとは茶の湯から続く、日本人独特の素材に対する感性で、もともとは千利休が見出したと考えています。
自然が豊かな環境で育った日本人のDNAには素材を尊ぶ感覚が刻まれているのではないでしょうか。
例えばそのことは、寿司屋のカウンターが、白木の一枚板でつくられていることに象徴的に表れています。
諸外国であればペンキを塗ってしまうところを、あえてそのままを楽しむ。
今回建てるにあたって、RC造を選んだのですが、それはコンクリートという素材を最大限に活かそうと考えたから。
木材の素材を活かす在来工法の選択肢も考えましたが、高気密・高断熱の面からRC造となりました。

 

なるべくたくさんの素材を使うことも意識しました。
コンクリート、石、木、紙、金属など素材が豊富な切り口も日本的だと考えています。

 

そして大事なポイントとしては塗装をしないということ。
塗装してしまっては素材感が活きません。
黒色が欲しいと思ったら、黒の石材を使う、茶色が欲しいと思ったら木材を使う、など
色を塗装で表現しない建物としました。
(木材などを保護するためにオイルやウレタンを塗布することなどは例外です)

 

シンプルとは素材感を活かすということ。
せっかく素材を活かそうと思っても、白木のカウンターが
レリーフでびっしりと埋め尽くされていると、素材の良さを享受しにくくなります。
桂離宮をはじめとする日本の伝統建築がなぜシンプルなのか、その答えも素材を活かす必然と考えると見えてこないでしょうか。
シンプルさと素材感は表裏一体の関係にあると考えています。

 

居住する地域にはそれぞれの気候風土や文化があります。
沖縄と北海道では当然求められる機能が異なるため、同じ建物を建てることはできないでしょう。
あるいは無理やり建ててしまっても快適ではないと思います。
その地域での快適さを素直に追い求めていくと自ずと地域性が出てくると思います。

 

以上ひとつでなく、3つを掛け合わせることで、日本的な建物が出現すると考えています。

 

そして総合的には、新聞社が年末にくれるようなカレンダーを壁に貼っても成立する建物を、ひとつの理想としていました。
カバーを付けない剥き出しのティッシュをそのまま置くということでもいいですが、
調和を求めすぎず、雑多に暮らしても受け入れてくれる懐の深さがあるという意味合いです。
どうやったらそういう建物をつくれるのか建築家に相談したところ、
構造を見せられる建物になっているか、そしてその構造を見せているかではないかと解答いただきました。

 

例えば合掌造りの家は新聞社のカレンダーを貼ってもビクともしないでしょう。
なぜならば構造を見せる前提で手を抜かずつくられているからです。

 

逆にいま現在量産されている経済性を優先した家は、プレカット材をボルトやネジで締めるだけだったり、
接着剤やタッカーなども使われており、躯体をあらわにはできません。
やみくもに構造を見せればいいということでもないと思いますが、機能美である梁や柱が露出しているほうが、建物として魅力的に見え、
そのことが懐の深さに繋がるのではないでしょうか。

 

構造をそのまま見せることができるからというのもRC造にしたひとつの理由です。

 

未完成なので全体をお見せできないですが、できあがったらまたアップしたいと思います。

 

 

 

和火やってます。

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