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デザイナー樋口賢太郎が
綴る日々のことです
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転がるデザインには苔が生えない
2025.09.30
デザインとはやはり時代のものだよなあと、最近しみじみ実感している。
時代に即し、時代を映す鏡として存在する。
それがグラフィックデザインのあるべき姿だと思う。
いまだとネットやSNSの力が強くなっているので、それに合わせて変化する。
グラフィックといえば歴史的に紙媒体との結びつきが強かったが、
スマホなどでブラウズする頻度が高くなり、モーション的な要素が強くなってきた。
ロゴやマークなども動くことが多くなり、今後はそういったことが前提の
アイデンティティに移り変わっていくのだろう。
時代がわからなくなったら、時代について行けなくなったら、デザイナーはやめどきだと思う。
逆に言えば、世の中心に近い位置で日々暮らしているひとは現役でいられる。
ときどきデザイナーは若いひとの感性がないとやっていけないと言われることがある。
これは半分あたっていて半分間違っていると思っている。
時代からずれないという意味では若いみずみずしい感性はやはり必要だと思う。
でもそれは年齢のことでなく、姿勢のことだ。
いつまでも好奇心を持ち続け、フットワークが軽いひとは歳をとらない。
巨匠と呼ばれるデザイナーの多くは、みずみずしい感性を保ったまま、
円熟味というか、年齢を重ねてしか得られない表現の奥深さを身につけている。
デザインはとまってはいけない。転がらなければならない。
転がるデザインには苔が生えない。
雑考
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