デザイナー樋口賢太郎が
綴る日々のことです
醤油差し遍歴
大きな目標とはなにか
毎年1月には抱負めいたことを書いているので今年もひとつ。
最近つくづく感じるのは大きな目標って大事だなということ。
仕事においても人生においても、どこを目指して行きたいかという大きな目標やビジョンがあると
結果が自ずと変わってくると考えています。
人生についても面白いと思うのですが、今回は仕事についての話です。
まず仕事には、大きな目標云々言う前に、お金を稼ぐという第一の目的があります。
しかし稼げるのであれば何でもいいわけではない。
稼ぐという意味ではコンビニのバイトでもいいわけですし、
人がやりたくない——例えば深夜——に働くことで正社員よりも効率良く稼ぐことができます。
しかし多くのひとがそうしないのは、やりがいもひとつの目的だから。
やりがいを持つ際に、ただの個人的満足でなく、大きな目標を目指すことが
いい仕事をするポイントになるのではないかと思っています。
自分がデザインを始めて間もないときは、流行りを追いかけたり、
単にカッコよければいいといった、自己満足の追求ばかりでした。
目指すデザインに含まれるものがとても少なかった。
しかし問題解決にも(当然に)きちんと向き合うようになり、
日本や伝統を意識したり、民藝に出会ったり、
だんだんと自我から距離を取ることができるようになりました。
たぶん自我からの距離と、ビジョンの大きさって比例するんです。
話の流れで思い出すのが、ベネチア国際映画祭で宮崎駿が金獅子賞をとったときのインタビューです。
記者から感想を求められて「(受賞は)励みにはならない」と答えていたことが印象に残ってます。
当然と言えば当然かもしれないですが、宮崎さんくらいになると賞を目指して作品をつくっていないんですよね。
宮崎さんのドキュメンタリーなどを見ていると、映画の試写に必ず子供たちを入れて、
どう反応するかをとても気にしているように見えました。
想像ですが、宮崎さんが目指す大きなビジョンとは
「嘘をつくことをまだ知らない年齢の子供たちが心の底から喜ぶこと」なのかもしれません。
大きな目標を掲げることがいいのは、辿り着くまでのプロセスにも意識的になれるところ。
それは、受験をパスするためだけに勉強するのと、目的があって勉強するのとでは
努力の質が変わってくることからも想像できると思います。
納得でき自分自身でも腑に落ちるので、プロセス自体も楽しめるようになります。
賞はあくまで通過点でしかなく、自分が掲げる目標にどれだけ近づいたのかが
評価基準になるってだいぶ健全なことではないでしょうか。
いまのところ自分が仕事において目指しているのは、Aboutにも書いているように
持続可能性 × 伝統 × 地域性
です。
デザインを通して社会がそのような方向に少しでも進んだらいいなあと思っております。
とりあえず今年はプロセス自体を楽しみながら仕事を進めていきたいです。
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