このブログはデザイナー樋口賢太郎が綴る日々のことです 誰のための掃除か 2019.02.27 来客などがある際に散らかった部屋を片付けていると その行為を来客のためにやっているのか、自分のためにやっているのかわからなくなることがある。 ゲストにとっては当然綺麗な方が望ましいと思うので片付けているわけだが、 自分をよく見せようとする気持ちもどこかにあると感じるからだ。 もっと言えば、見栄をはる気持ちというのか、普段よりも念入りに掃除をすることで、 自分はこんなにも綺麗好きなんですよ、とアピールしているような気もする。 なので純粋にゲストのためにやっているのかと問われると即答するのは難しい。 大学時代に、人を招き入れる際もあえて部屋を片付けないという友人がいた。 普段の自分に自信があるので、どんなに散らかっていてもありのままを見せられる。 片付けるのは自分に自信がないヤツがすることだと、いうのが彼の主張だった。 たしかに遊びに行ってみると、床にはほこりが溜まり、 脱ぎっぱなしの衣類はそのままで、ポルノ雑誌も隠されていない。 主張がなければ、ただのだらしないヤツという印象で終わるところだろうが 彼の演説を聞いたあとだと、散らかった様子や、ポルノを隠そうとしない姿勢にも説得力があり、 それなりに魅力を感じられるのが不思議だった。 これらのことで思い出すのは、クリエイティブディレクター佐藤雅彦さんの エッセイ集で読んだひとつの寓話である。 その話には恥ずかしがりやの冷蔵庫とふてぶてしい冷蔵庫が出てくる。 ちょうど思春期の冷蔵庫は、扉を開けることを、とても恥ずかしがる。 逆に中年期の冷蔵庫のほうは、扉を開けることにまったく躊躇がなく、むしろふてぶてしいぐらい。 思春期の冷蔵庫の様子は、見ているこちらが困ってしまうぐらい恥ずかしがるが、 中年期の様は、躊躇がないのでそうは感じない。しかし何かを失ったようでそれはそれで残念である。 だいぶ昔に読んだので記憶が曖昧だがおおよそこんな話だった。 なぜこの話を思い出したのかというと、冷蔵庫の中身と部屋の中身が同じでないかと感じているからだ。 大学時代の友人の主張は、それはそれで興味深いものであるが、 訪れたゲストがどう感じるかという視点が抜け落ちている。 衣服が散らかっているのは許容できるかもしれないが、 トイレまで掃除されていないとすると、まあたいていの人は嫌がるだろう。 つまりその主張は自己完結しているだけで、ゲストの視点は含まれていないのだ。 例えばハウスダストアレルギーがある人を前にすると、彼の主張はまったく成立しなくなってしまう。 冷蔵庫で言えば後者のほうのタイプだろう。 一方の前者の恥ずかしがりやの冷蔵庫もゲストの視点が抜けている。 何を見せたら迷惑なのかという境界線がわからないため、見せること自体を躊躇してしまうからだ。 的確な判断力がなく、見せても迷惑でないものまで隠そうとする行為に困惑はしないが、 成熟した大人の振る舞いではないだろう。 自分はと分析すると、よりよく見せようとする虚栄心について悩んでいるのだと思う。 清潔であることは、行き過ぎても問題はないかもしれない。しかしそこに虚栄心が混ざると受け手は疲れると思う。 俗に言う鼻につくという状態だ。 訪れる人がどれだけ心地よく感じられるかだけを考え、掃除をする。 とても基本的なことだし、いっけん簡単なように思えるが、 けっこう奥が深く、おそらく茶道の一期一会の精神などにも通じる話ではないだろうか。 掃除ひとつとってもなかなか難しいものだと思う。 ※和火のインスタやってます。 ※ただいまブログの引越し中です。旧ブログをご覧になりたいかたはこちらにアクセス願います。 ニュース雑考 コメント:0 亥年 2019.01.01 明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いいたします。 すいせい 代表 樋口賢太郎 ※和火のインスタやってます。 ※ただいまブログの引越し中です。旧ブログをご覧になりたいかたはこちらにアクセス願います。 ニュース コメント:0 年末年始の営業のお知らせ 2018.12.25 下記の通り、休みをいただきます。 ご不便をおかけしますが、ご理解いただきますと幸いです。 ◎年末年始休業期間 2018年12月29日(土)~ 2019年1月6日(日) すいせい 代表 樋口賢太郎 ※和火のインスタやってます。※ただいまブログの引越し中です。旧ブログをご覧になりたいかたはこちらにアクセス願います。 ニュース コメント:0 掲載されています! 2018.12.21 少し前になりますが、LA CANDEURと85の仕事を掲載していただきました。 ありがとうございます。 LA CANDEURが掲載の『FLORA & FAUNA』を発行しているのは香港の出版社。 世界をマーケットとする編集なので、いろんな国々の作品があり、その中で自分のデザインがどういった見え方をするか勉強になります。 他にも日本のデザインが載っているので、総合的に比較してみると、やはり他国との違いを感じますね。 いくつか要素はあると思うのですが、一番特徴的なのは素材感を意識しているかどうかではないでしょうか。 日本のデザインは素材の良さを重んじる傾向があり(無印良品はその極北)、 これは持論ですが、その事実には自然が豊かな環境と関係があると思ってます。 やたらとデコラティブにしないのも同じこと。 そのあたりについてはここに書いていますので、ご興味がある方はご覧ください。 しかしそろそろ旧ブログのデータを引っ越さなくてはw 来年の課題にしておきます。 ◎FLORA & FAUNA A4変形判/256ページ 発売元 Victionary 定価 本体USD$39.95 ◎実例つきロゴのデザイン B5判/352ページ 発売元 パイ インターナショナル 定価 本体5,800円+税 ※和火のインスタやってます。※ただいまブログの引越し中です。旧ブログをご覧になりたいかたはこちらにアクセス願います。 ニュースパブリシティ コメント:0 ウェブサイトをリニュアールしました 2018.11.28 イメージづくりに総合的に関わっております無相創さんのウェブサイトを リニュアールいたしました。 フルスクリーン、スマホ・タブレットなどへのレスポンシブル対応を行いました。 ※和火のインスタやってます。 ※ただいまブログの引越し中です。旧ブログをご覧になりたいかたはこちらにアクセス願います。 ニュース最近の仕事 コメント:0 < 新しい投稿 過去の投稿 >